住宅性能を見極める共通指標と住宅性能用語12選【UA値・C値・U値の目安】

家づくりは住宅性能を知ることから。住宅性能用語12選。 ハウスメーカー比較・基礎知識

高性能な家を建てるには、業界共通の「数値」と「指標」で比較しなければなりません。
特に家の弱点である「窓」と、施工精度を示す「気密(C値)」は重要です。

今回は、家づくりの基本となる住宅性能用語を解説します。

【比較表】営業トークを「共通の物差し」に変換する

ハウスメーカーの主観的なアピールを、数値で裏取りするためのチェックリストです。

知りたい住宅性能営業トーク(例)共通指標
窓の断熱性能最新のサッシで結露しません熱貫流率(U値)
樹脂フレームか
断熱性能冬も暖かく暮らせます断熱等級(6以上か)
UA値・Q値
気密性能社員大工が丁寧に作っています気密測定の実施有無
実測C値(0.7以下)
地震への強さ等級3程度です耐震等級3
制震性能最新の制震技術を搭載しています制震ダンパーの種類と搭載数
換気効率深呼吸したくなる家です換気システム
(第1種か、第3種か)

💡数値を見る際の注意点

住宅性能の目標値は、お住まいの地域の気候(省エネ基準地域区分)によって異なります。
以下で紹介する「UA値 0.46」などの数値は、主に「5・6・7地域(東京・大阪・名古屋など)」を想定した、推奨ラインです。積雪地域などの寒冷地では、より厳しい(数値が小さい)目標が必要になるため、必ずご自身の地域の基準を確認してください。

なお、ご自身の地域の区分がわからない場合は、こちらで確認できます。

窓の性能に関する用語(最大の弱点を守る)

新築から数年でも「内窓(二重窓)」を付けるリフォームが急増しているのをご存知でしょうか?
これは、新築時に窓を妥協した結果「新築なのに寒い」と後悔する人が多いためです。
後から多額の費用を払うなら、新築時に窓を強化するのが最も賢い投資です。

家の熱の出入りが最も激しいのは「窓」です。
家の断熱材をどれだけ厚くしても、「窓」の性能を妥協するとすべてが台無しになります。
夏に外から入ってくる熱の約70%、冬に家から逃げる熱の約60%が、実は「窓」からなのです。

窓の性能を上げるのが住みやすい家の作りのポイント
  • 熱貫流率(U値)
    目標:U値1.0以下
    窓全体からどれだけ熱が逃げるかを示す数値。数値が小さいほど高性能です。
    日本の一般的な窓は2.3前後ですが、高性能住宅を目指すなら1.0以下を一つの基準にしましょう。
  • 樹脂サッシ(オール樹脂)
    窓のフレームがプラスチック(樹脂)でできているもの。
    アルミは樹脂の約1,000倍も熱を通しやすいため、結露を防ぐなら「オール樹脂フレーム」が必須です。
  • トリプルガラス(3層ガラス)
    ガラスを3枚重ね、その間にアルゴンガス等を封入したもの。
    ペアガラスよりも圧倒的に断熱・防音性能が高く、これからの高性能住宅のスタンダードです。
  • Low-Eガラス(日射取得・遮蔽)
    特殊な金属膜をコーティングしたガラス。
    方角に合わせて「冬に熱を取り込むタイプ」と「夏に熱を遮るタイプ」を使い分けるのが正解です。

断熱・気密性能に関する用語(家の燃費を決める)

断熱等級(だんねつきゅう)

目標:等級6以上
家の断熱性能を1〜7で評価したもの。
2025年に等級4以上が義務化されましたが、快適な暮らしには「等級6」以上を目指すのが賢い選択です。

断熱等性能等級 概要・ポイント
等級7
2022年10月新設
現行の最高等級。HEAT20 G3水準。冬の最低室温がおおむね15℃を下回らない水準。諸外国の高断熱住宅と同等レベル。
等級6
2022年10月新設
HEAT20 G2水準。ZEH+(更なる強化外皮基準)相当。冬の室温がおおむね13℃を下回らない水準。省エネ補助金の要件になることも多い。
等級5
2022年4月新設
ZEH・長期優良住宅の断熱基準と同等。2030年に義務化水準となる予定。
等級4
2025年4月〜義務化
2025年4月から全新築住宅に義務化。長らく「最高等級」だったが、現在は最低ラインに。
等級3 H4年基準(1992年・新省エネ基準)相当。2025年4月の等級4義務化により、新築での建築は不可となった。
等級2 S55年基準(1980年・旧省エネ基準)相当。無断熱の住宅と比べ約30%の省エネ効果。現在の新築では使われない水準。
等級1 断熱措置なし(無断熱)。S55年基準すら満たさない最低ランク。現在の新築では該当しない。

※ 断熱等性能等級は住宅品確法に基づく国土交通省の基準。HEAT20は民間団体(20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会)による独自基準。

UA値(ゆーえーち)

目標:UA値0.46以下
外皮平均熱貫流率。
数値が低いほど熱が逃げにくい。現在の断熱基準の主流となる指標です。

「UA値0.6(ZEH基準)」は、ハウスメーカーがよく使う数字ですが、実は今のトレンドでは「最低限の性能」です。
後悔したくないなら「0.46(等級6)」を目標にすることをおすすめします。

省エネ地域区分
1地域
(名寄)
2地域
(札幌)
3地域
(盛岡)
4地域
(長野)
5地域
(新潟)
6地域
(東京)
7地域
(鹿児島)
住宅性能表示
省エネルギー対策
断熱等性能等級7 0.200.200.20 0.230.260.260.26
断熱等性能等級6 0.280.280.28 0.340.460.460.46
断熱等性能等級5 0.40.40.5 0.60.60.60.6
断熱等性能等級4 0.460.460.56 0.750.870.870.87
長期優良住宅 断熱等性能等級5 0.40.40.5 0.60.60.60.6
ZEH+(更なる強化外皮基準) 0.30.30.4 0.40.40.50.5
ZEH(強化外皮基準) 0.40.40.5 0.60.60.60.6

参照:YKKAP株式会社資料をもとに作成

Q値(熱損失係数)

目標:Q値1.6以下
換気で逃げる熱まで含めた指標。
UA値よりも実際の「家の保温力」をシビアに反映するため、性能重視の会社がよく使います。
換気による熱ロスが少ない「第1種換気」を採用すると、Q値は劇的に良くなります。

なお、Q値は1999年に制定された「次世代省エネルギー基準」で使われていた断熱性能の指標です。
その後、2013年の省エネ基準改正でUA値に切り替わり、現在の省エネ法・断熱等性能等級ではQ値は使われていません。

気密測定とC値(しーち)

目標:C値 0.7以下
家にどれだけ「隙間」があるかを現場で測ること。
カタログ値ではなく実測値がすべてです。
C値が大きいと、計画的な換気が機能せず、冬に隙間風を感じたり、壁内で結露が起きやすくなったりします。

我が家の気密測定についてご紹介していますので、こちらからご覧ください。

省エネ基準地域(地域区分)

日本を1〜8のエリアに分けたもの。
自分の地域で必要な断熱スペックを判断するための前提知識です。

省エネ地域区分がわからない場合は、国交省のサイトやこちらのサイトで簡単に確認できます。

構造・換気に関する用語(安心と健康)

  • 耐震等級3(構造計算あり)
    目標:等級3
    地震に対する強さの最高ランク。
    「簡易計算」ではなく、「許容応力度計算」に基づいた等級3であることを確認してください。
    耐震等級3の住宅は、地震保険料が50%割引(半額)になる大きなメリットがあります。
  • ダンパー(制震ダンパー)
    地震の揺れを吸収する装置。
    繰り返しの余震から構造体のダメージを防ぎ、家の寿命を延ばします。
  • 換気システム
    目標:第1種換気
    給気と排気を機械で行う仕組み。
    外の冷気を室温に近づけて取り込む「熱交換型」にすることで、断熱性能を最大限に活かせます。

まとめ:ハウスメーカー選びは「主観」ではなく「数値」で

ハウスメーカーの営業マンが「暖かいですよ」「地震に強いですよ」とアピールしても、それはあくまで自社基準の評価です。失敗しない家づくりのためには、以下の3つの質問を投げかけてみてください。

  1. 「窓のU値(熱貫流率)はいくらですか? オール樹脂サッシが標準ですか?」
  2. 「気密測定を全棟で実施し、C値 0.7以下を保証(または目標設定)できますか?」
  3. 「耐震等級3は、簡易計算ではなく『許容応力度計算』に基づいていますか?」

「独自の強み」という曖昧な言葉を、これら共通の性能指標に置き換えることで、本当の意味で価値のある「高性能な家」が見えてきます。
この数値を確認することが、数年後の内窓リフォームや光熱費の高騰を防ぐ、最大の防衛策になります。

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